Stoneの表現定理その2 Boole代数の原子
この記事は
の続きです.
前回はBoole代数を定義して,順序を導入しました.
今回は導入した順序を元にBoole代数の性質を確認し,Boole代数の原子を定義します.
順序の性質
命題1 &
[証明] は定義そのもの
とを示せば良い. \begin{align} x &= x + 0 \\ &= x + a(-a) \\ &= (x+a)(x+(-a)) \\ &= 1 \cdot (x+(-a)) = x+(-a) \end{align} より
\begin{align} x &= x\cdot 1 \\ &= x(a+(-a)) \\ &=ax +(-a)x \\ &= (-a)x \end{align} より //
命題2
[証明] と命題6より従う //
命題3
[証明] よりとなる.同様にも成立. について,よりとなるので, はの最小上界
積については双対性から従う //
命題3は任意有限個の場合にも成り立ちます. すなわち,となります (証明は帰納法による).一方で,無限個の元に対してはsupやinfが必ずしも存在するとは限らないので注意が必要です.
は演算を保ちます.すなわち,
命題4
[証明] より.積についても同様 //
命題5
[証明] 命題1より,を示せば良い.
より成立.
積についても同様である.//
命題5はDe Morganの法則と呼ばれる性質です.この性質は,次のように任意有限個の場合に一般化できます.
順序は,をとると逆転します.すなわち,
命題6
[証明] より成立
は とより成立 //
定義7 をと表記する.
命題8
[証明] より成立
このとき,である.(の最小性と命題3より従う) より.同様にも成り立つので //
Boole代数の原子
定義9 の極小元を原子(atom)という. また,任意のに対して,となるような原子が存在するBoole代数を原子的なBoole代数という.
例
有限Boole代数は原子的.
ベキ集合代数は原子的.その原子全体は,となる.
命題10 を原子として,とする.このとき,
[証明] なので,または. とするとなので, //
命題10の系として,異なる原子の積はであることがわかります
参考文献
- Logic of Mathematics: A Modern Course of Classical Logic (著: Adamowicz , Zbierski)